和尚なまず

伝説 和尚鯰(おしょうなまず)昔このあたりに清水沼(しみずぬま)と呼ばれる大きな沼がありました。ある年の夏、珍しく日照りがつづき、近くの百姓たちは沼の水をかえ出して田に引くことにしました。ところが鯉や鮒、どじょうがとれだし、みんなは大喜びで魚とりに夢中になってしましました。昼ごはんを食べていると、ひとりの旅の僧が通りかかったので、信心深い百姓たちは小豆飯をご馳走しました。旅の僧はおいしそうに食べたあと、「大きな沼には必ず主が住んでいます。主をとると祟りがあるとか・・・。くれぐれも気をつけなされますように・・・」と言って立ち去りました。底近くまで水をくみ出した時、六尺(約2m)ほどの大鯰がつかまりました。あれこれと意見が分かれましたが、ついに、料理することになり、腹を切開くとふしぎにも先ほどの小豆飯が出てきました。はっと気づいた百姓たちは「さっきの坊さまは沼の主が姿をかえ、命乞いにきんさったのじゃ・・・」「大ごとじゃ・・・」と大騒ぎになりました。いろいろ考えた末に近くの天徳寺の和尚様に相談し、丁重に供養し、境内にお墓をたてました。そのおかげか百姓たちには崇りや不幸はなかったということですが、これには「鯰の化身」という少々違った話も伝えられています。 「周防長門の伝説」(松岡利夫 著)「続防府市史」(防府市教育委員会) 平成四年三月 防府市

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2012年08月15日